STILL ALICEを鑑賞

alice-movie.com

アカデミー賞系3作目。

タイムリーなテーマでかつ良い作品だった。主演の演技も素晴らしい。

禅や自己啓発ブームで、今をどう生きるかということが最近よく言われるが、病気によって記憶をなくし、強制的に今しか生きられなくなったらその本人や家族はどうなってしまうのか。

結局、愛だけが残るというのが主なメッセージだと思う。本人はもとより、家族もその表現の違いこそあれ、アリスを以前と同じように愛する、そうせざるを得ないのである。

少し内容にふれるが、最終的に次女が記憶を無くした母親の面倒をみることになるのだが、次女はその母親にずっと生き方を変えた方が良いとプレッシャーを受けていたにもかかわらず、あるがままの自分の気持ちを大切にし、演劇を続けていた。そういう人間だからこそ逆に母親が記憶を無くそうがあるがままの母を受け入れることができるのである。

一方、その次女の演劇活動を影で応援し続けて来たのは、仕事で妻の面倒を直接みることができなくなった父親である。彼は妻の面倒を見れない自身を責めるが、経済的側面で妻を支援していくことに変化はない。

長女は長女で、記憶ある時の母が誇りに思うような生き方をし、結婚して子供を生み、孫の顔を母親に見せ、孫を持つ事の幸せを母親に与えていた。

レビューなどを見ると、若年性アルツハイマーの恐怖と、本人、家族の苦悩などが話題になっているが、私には何とも言えない暖かさに包まれた愛についての物語にしか思えなかった。

実際に認知症の人と関わったことがないので軽々とは言えないが、記憶や思考がもたらす恐怖や苦悩はやはり幻想であり、それらがないところにはただ愛だけが残る、というのを再確認させてくれる映画だった。