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宇宙はゼロからはじまり、ゼロに終わるのだ。
異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: チャールズ・サイフェ,林大
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/05/05
- メディア: 文庫
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興味深く、一気に読んでしまった一冊。
ゼロとは一体何か。それは無であると同時に無限である。仏教の空を思い起こさせる概念だ。西洋は長年ゼロを異端として排除してきたため、数学的にも哲学的にも東洋に遅れをとってしまった。
西洋に限らず、人はゼロ(無)に対して漠然とした畏怖を持つものだ。生がゼロから始まるとするならば、死もまたゼロを意味するからだろう。
ゼロを無限に足してみよう。
0 + 0 + 0 + 0 + ・・・・・・・・・・・・∞ = 0
ゼロを無限に足したところでゼロはゼロである。何もないところから何かが生まれるはずがない。当たり前だ。
しかし、上記をこう書き換えてみる。
(1-1) + (1-1) + (1-1) + (1-1) ・・・・・・・・・・∞ = 0
これまたゼロである。しかし何らかの理由で上記の括弧が1つズレてしまえば・・・
1 + (-1 + 1) + (-1 + 1) + (-1 + 1) ・・・・・・・・∞ = 1
あら不思議、ゼロから1が生まれた瞬間である。ひょっとしたらこれがビッグバンの数学的証明かもしれない。ちなみに、上記は1でなくてもよく2でも3でも1万でも同じである。ゼロは無でありまた全てであり得るということなのだ。
ともかく、ゼロは数学的、物理学的、また天文学的にも非常に重要な概念であり、この概念が解明される時、人類は神の心を知ることになるようだ。
人は死ねば、無に帰する。が、同時に全てになるのかもしれない。
ゼロ(無)を恐れる必要はない。
人生でも行き詰まれば、ゼロベースでスタートさせるのも無駄ではない。
投資においても一旦ポジションをスクウェアにする、つまりゼロにすることが、たとえそれが損切りを意味しても、非常に重要な時があるものだ。