富士山に投資しますか?KurtosisとSkewnessについて
さて以前の記事で少し触れた、損益分布についてのマメ知識をここで少しご紹介。
まずはご自身の損益分布のヒストグラムを作成していただきたい(ヒストグラムを作成方法はこちらなど参照)。
で、出来上がったヒストグラムを見てみるとどんな形になっているだろうか。まずは、下図をご覧いただきたい。
左図が標準偏差のベルカーブである。もし、あなたの損益分布ヒストグラムがこの形に近ければ、おそらく損益合計はプラスマイナス0に近く、平均的トレーダーで結局トントンの投資を繰り返していることになる。
中央図に近い場合は、損小利大のトレーディングであり、長期的に資産は増加していくだろう。
右図はその逆、典型的な初心者トレーダーでコツコツ勝っては、ドカンとやられを繰り返し、トータルでの資金はマイナスのはずである。
で、実はこれが統計学的にSkewness(歪度)と呼ばれるもので、左図のSkewnessは0、中央図は0以上、右図は0以下である。つまり、あなたが損小利大のトレーディングを行いたいなら、Skewnessをポジティブに保つことである。(Skewnessを図るには、エクセルでskew関数を使って頻度を調べればすぐにでる。)
次に、Kurtosis(尖度)だが、まずは下図をご覧いただきたい。
尖度とは、この山の天辺と裾野がどうなっているかを測る指標である。
茶色の山が標準偏差で、通常Kurtosisの値は3となり、緑が3以上、青が3以下ということになる。つまり、この三つの損益トータルが例え同じであったとしても、緑のほうがより優秀なトレーダーによるものであることがわかる、なぜなら取っているリスクが他の二つより小さいからである。青は、裾野がずーっと広がっていて、さらに厚みがあるのがわかるだろう(これをテール・リスク、fat-tailedという。)。こんな危ういことをするファンドマネージャーにあなたは資金を預けようとは思わないだろう。こういうトレードをしている人は、儲ける時は大きく儲けるかもしれないが、一度負けると致命的なドローダウンを出しかねないので要注意である。
よって、Kurtosisを3以上に保つことがトレーダーや投資家としては重要となるのだ。(KurtosisもエクセルのKurt関数で頻度を調べれば簡単に測定できる。)
ということで、あなたの損益分布はこの他にも、いろいろと発見をもたらしてくれると思うので、トレード上達のために是非やってみることをお奨めしたい。
もうお分かりかもしれないが、私は”富士山”には投資しない。テイル・リスクが大きすぎるからである。