Yes, you can have it all.

ところが、『所有する』ことは、『自由に動きたがる』という、ものの性質に逆らうことになります。どんなものでも、それを真に楽しむ唯一の方法は、それを自由にしてあげることなのです。あなたがなにかを自由にしてあげたとします。それでも、その『もの』があなたのところにとどまったなら、それは、その『もの』が、あなたに最適であり、あなたに楽しんでもらうために、あなたのところにやってきたという意味です。

もし、自由にしたあとで、『もの』があなたのもとを去ったとしても、ガッカリする必要はありません。なぜなら、それは、あなたにとってもっとピッタリで、もっと喜びを与えてくれるものがほかに存在する、という意味だからです。

『手に入れるために手放す』。この法則に慣れるには、少々時間がかかるかもしれません。手放すことは、持っているものを全て放棄しなさい、という意味ではありません。手放すのはあくまでも気持ちの上でのことです。手放すことは、何かが絶対に必要だという思い込みや、執着心をなくすことなのです。

では、実際に執着心を手放せるようにするには、どうすればいいのでしょう?それにはまず、執着しているものや人が、そばにあろうとなかろうと、平和な気持ちを保つよう努めることです。そうやって、執着心を徐々になくしていきます。平和な気持ちになるまで、根気よく続けましょう。

これを実践することによる、大きなメリットは、たとえ、ものや人が自分のもとを去っても、心に負うショックや痛手が最小限ですむことです。

<執着しないことの法則>は、<豊かさの法則>と表裏一体です。宇宙が豊かであるというのが真実なら、なにをどれだけ手放そうと、遅かれ早かれそれにかわるものがやってくるのは、自明の理ではありませんか?

「成功」+「幸せ」を手に入れる21の原則

「成功」+「幸せ」を手に入れる21の原則

 さすがは元弁護士、実業家の著者。内容そのものは所謂ニューエージ系で一般的に言われていることの”まとめ”みたいなものだが、誰にでも理解できるように分かりやすく、説得力のある構成となっている。

ただ、セクション7でのサポートグループ作成のススメには違和感がある。グループのルール作成やゴール設定、さらに開会宣言の言葉まで作るよう提案している。これでは、どこかの新興宗教や教会がやっているのと変わりがないではないか。これではオールドエージだ(笑)。元実業家ならではの組織化したくなるクセだろうか。

おそらく、宗教組織に関わらず、今存在するあらゆる組織は、最初は一人のインスピレーションによって始まったはず。ところがその一人のインスピレーション(気づき)を組織化した途端、その気づきや悟りはドグマ(教義)となり、硬直化が始まる。あとは歴史が証明する通り、やがて組織は自由や愛とは正反対の分断、抑圧、暴力へと変化する。

悟りを組織化することはできないし、ましては悟りを強制することなどもってのほかだ。悟らない自由を与えることも他人や自身への慈愛である。悟りは極めて個人的なことであり、ダイナミックで流動的だ。(この点、若きクリシュナムルティが自らが率いた教団を解散したのは英断だったと思う。)

もちろん、気づきをシェアすることに問題はない。どうしてもこのようなグループを作りたいなら、初めから解散ありきでやるぐらいが良いと思う。