競争とはイデオロギー
何よりも、競争とはイデオロギーなのだ。社会に浸透し、僕たちの思考を歪めているのが、まさにこのイデオロギーだ。僕たちは競争を説き、その必要性を正当化し、その教義を実践する。その結果、自分自身が競争の中に捕われてしまう。ー競争すればするほど得られるものは減っていくのに。
それはわかりきったことなのに、僕たちはそれを無視するように刷り込まれる。アメリカの教育システムは競争への強迫観念を反映しているし、それを煽っている。
- 作者: ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ,瀧本哲史,関美和
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本
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平積みを手に取る。著者はかのPayPalの共同創業者。
シリコンバレーの起業家?どうせギラついた自身の成功物語とバイアスだらけの起業論かと思ったが、そうではなかった。
著者曰く、世の進歩というものは、企業間の激しい競争による切磋琢磨によりもたらされるのではなく、テクノロジー等による極めて高い創造性に担保された独占的企業(例:Google)によるものだとする。なぜなら、激しい競争下において企業は、まず市場で生き残ることが第一目的になる傾向があるからだ。そのような企業に新たな未来をゼロから創造するような概念や理念などが生まれようはずがないからだ(残念ながら、ソニーやパナソニックなどのかつて世界に冠たる日本企業郡が今やこのような状態に陥ってしまった。)。
当然と言えば当然だが、なかなかこれを理解している人は少ない。引用にもあるように、競争を是とする洗脳をあらゆる手を使って”胴元”が施しているからなのだ。自由の国アメリカですらそうなのだから、日本の教育など言わずもがなである。
いつぞやこれについて少し触れてあるのでこちらを参照されたし。
いずれにしても、シリコンバレーで大成功した起業家には珍しく、等身大で気取らない内容が著者の知性を感じさせる。内容もシンプルで読みやすい。