天井で売れる確率

あるひとがコンピューターで天井で売れる確率を計算した。この計算には「底で買える確率」は含んでいない。

また、天井値での出来高と、それから一円ずつ安値にゆくにつれての出来高、それも天井をつけにゆくときと天井から下がってゆくときの両方の出来高をとって計算したのだが、その結果は次のようであったという。

 天井の一点(素っ天井の値)で売れる確率・・・1500万分の1

 天井から2%以内で売れる確率・・・50万分の1

 天井から10%以内で売れる確率・・・30万分の1

ツナギ売買の実践

ツナギ売買の実践

 株式投資におけるツナギ売買(両建てヘッジによる売買)についての古典。文学も古典が良いが、投資本も同じことが言えそうだ。時代の流れにさらされても風化しないものこそが普遍性を帯びる。

さて、上記の数字が正しいかどうかは問題ではない。相場において、大底(天井)で買(売)って、天井(大底)で売(買)ることがいかに至難の技かを分かりやすい数字で表したものである。投資においてビギナー(特に完璧主義者の)がハマりやすい罠がこれだ。買う時も売る時も、大底や天井でポジションを取らなければ我慢ができないタイプの人はあまり投資には向いていないと思って良いだろう。

いかなる相場の魔術師と言えども、大底で買って、天井で売るなどそうそうできるものではない。上の数字を見ても分かる通り、宝くじを当てるくらいその確率は低い。

デイトレードで考えてみてはどうか。試しに、1日24時間で1時間足を見ながらその日の底で買い、天井で売ることを考えてみよう。底、天井をついた1時間内のポジションならどの値でもOKとしても、その確率は1/24×1/24で約0.17%である。ただし、これは24時間1時間も休まずチャートに張り付いた場合の確率である。

これを考えただけでも、底と天井を狙って必死に投資をすることがいかにバカバカしいことか理解できよう。精神的にも肉体的にも無理がある。そのうち投資が嫌いになること間違いなしだ。

頭と尻尾はくれてやれとは、つまりこういうことなのである。

 そして、ポジションはいくつかにわけて分割で取る事(苦し紛れのナンピンではなく戦略的に)。そうすれば、分割したポジションのいくつかが底や天井にあたる確率は格段に増すはずだ。