ビリオネアの生態
大きなリスクを取ろうとするとき、ほとんどの人は莫大な個人的負債が身を破滅させると考える。彼らはそう考えないのだ。実際、危機負担の特質は成功へのゆるぎない信頼にあるから、失敗するのではないかというどんな懸念も圧倒するのだ。企業家だってビジネス上の不安は経験するが、その心配を打ち消すほど強いのが、目的意識と自分の能力に対する強い自信であると、アンドリュー・キート(ロヨラ大学シカゴ・ファミリービジネスセンターのエグゼクティブ・ディレクター)は言う。
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「運のいい人々は、チャンスを創造したり、見逃したりしないことに秀でており、自分の直感に耳を傾けて運のいい決定を行い、積極的な期待を通して、自ら実践できるような予言を生み出し、不運を幸運に変える快活な態度をとる」言い換えると、不運を背負った人にとって悪い出来事は災難となるが、フォーブス400の幸運なメンバーにとって、悪い出来事はそれ以上悪くならない。
逆に言えば、不運な人々は普通の人よりも緊張し、不安を持っており、とりもなおさず彼らは目の前にあるものを見逃しがちだと、ワイズマンは発見した。「不運な人々は、ほかのことばかり探し求めて、偶然の機会を逃す」と彼は書いている。
「彼らは完璧なパートナーを求めてパーティーへ出かけて行き、そのために良い友達をつくる機会を逃す。彼らは、あるタイプの求人広告を探そうとして新聞に目を通す。その結果、他のタイプの仕事を見逃してしまう。幸運な人々はもっとリラックスし、オープンだ。だから、何を探したいかではなく、そこにあるものに目を向ける」
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「大事なのは、焦点を絞ることである」と、彼は言う。「私は、何にせよ常に一生懸命に働いた。しかし確かに私は、正しい時に正しい場所にいた」「何か違ったことをやってごらん、違っていて構わないのだよ、リスクを冒しなさい」
ビリオネア生活白書―超富豪たちはどう稼ぎ、どう使っているのか
- 作者: ピーター・W.バーンスタイン,アナリンスワン,Annalyn Swan,Peter W. Bernstein,河邉俊彦,田淵健太
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/08
- メディア: 単行本
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フォーブス誌の米国の富豪TOP400についての研究書。460ページに渡って所謂ビリオネアの生態について書き綴っている。
金持ち本にありがちな、金持ち礼賛でもなく、金持ちに対する不当な非難でもなく、出来る限り中立的にビリオネアたちを観察した数少ない本だ。
資産億単位のミリオネアであれば、意外な程どこにでもいる。ただし、本書に登場するようなビリオネアとなると、その数は乗数的に稀少になる。
ミリオネアの小金持ちで終わる人とそこから飛び抜けてビリオネアとなる人の違いはいったいなんだろうか。才能か、努力か、はたまた運か。おそらくそれら全てだ。だが、それはなにもビリオネアに限ったものではないはずだ。ミリオネアでも普通のサラリーマンでも、才能、努力、運を最大限に生かそうしている点では変わりはない。
先日の記事を思い出してみよう。
米粒を一粒一粒平らな床に落として行くとやがて、米粒の山が出来上がって行く。そして、ある任意の一粒が落とされた時、山が突然バランスを崩して、雪崩のように崩れて行く。どの一粒がそのような崩壊を起こすのかはまったく予想不可能だが、その崩壊の規模と頻度は必ずべき乗の法則に従う。まさにその一粒は幸運にも正しい時に正しい場所に落ちたのである。おそらくこれがビリオネアという飛び抜けた富豪が生まれるメカニズムだろう。事実、保有資産の多寡とその人数の割合もべき乗の法則に従っているようだ。
当然、一人の人生において、米粒を落とすチャンスが一回しかないなんてことはない。そうしたいと思うのであれば、とにかく米粒を落としてみることだ。