投資家心理の基礎

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トレードの話。結果論だが、今回私はドル円を100円後半でいつもより少な目に分割ロングポジションを取った。現在180pipsほどの含み益となっている。

で、一つのトレード成功例として、どのような背景でそのようなポジションを取ったかということを明記しておきたい。

まず、基本的にファンダメンタルズとしては、米国と日本の金融政策が真逆、つまりは米国がQE縮小および利上げに向かっているのに対して、日本が金融緩和を維持しているため、何らかの危機がない場合、円安ドル高基調には変化はない。これは誰もが認めるところだろう。そこで、ロングでポジションを取るタイミングを伺っていたのが一つ。

で、チャートを見ればわかるように、基本的な相場の環境認識としては4ヶ月以上もの上下赤線内レンジ相場である。

Bが100.7の年初来安値である。C、D、Eとその安値直前で3度反発上昇しているのがわかる(下の赤線)。これが結構大事なポイント。

今回私がロングポジションとったF点で何が起こったか。投資家心理という切り口のみで考えてみよう。

まずA点付近でロングポジションをとってしまった投資家(ALとする)は、F点では戦々恐々としているはずだ、これまで何度も逃げるチャンスがありながら見逃しここまで粘って来た、がまた同じ赤線まで下がって来たと。C、D、Eと耐えて来たがもう限界。このラインを割れば損切りだ(もっと長期で考えているものは青線の少し下に損切り位置を置くだろうが。)

一方、A点でショートポジションを保持している投資家(AS)はどうか。当然、赤ラインを割り込んで、年初来安値の更新を狙っているわけだが、なかなか割れずこれもまた、いつ日銀追加緩和が来て暴騰してくるか恐れているわけだ。

B、C、D、Eでロングを保持した投資家(BL, CL, DL, &EL)も少なからず、下の赤ラインの少し下にストップロスを置くだろう。

B、C、D、E以上の価格でショートした投資家(BS, CS, DS, &ES)は赤ラインが割れて相場が大崩れすることを虎視眈々と狙っているだろう。だがなかなか割れず、そろそろ疑心暗鬼になるころだ。

さぁいよいよ、F点に価格が到達、投資家たちの注目度が一気に上がり、皆パソコンのマウスを持つ手が汗ばんできた。

そして、遂に赤ラインを割った。

まずは、BL、CL、DL、ELのストップロスが発動され価格は一気に年初来安値に向かう。ALは「もうダメだ、これ以上我慢できない」と言ってポジションを切る、さらに待ってましたと言わんばかりに、レンジブレイクを狙うショートのトレンドフォロワー(ST)がポジションを取る。価格はさらに下落し、年初来安値突破かと思われた。

その瞬間、今度は待ってましたとばかりに中長期のロング勢がストップロスを拾って行く(私もその一人)。結果日足レベルで大きく髭をつけて価格が赤ラインに戻って来た(所謂ダマシ発生だ)。

まずは、STがダマシだったと分かるやショートポジションを早々に手仕舞い、価格はさらに上がる。次に、CS、DS、ESが年初来安値のダブルボトム確認後撤退、価格がまた上がる、短中期のロング勢がポジションを増して価格がさらに上がる。

 

私はF点付近のロングを狙った、もちろん損切り位置は年初来安値のすぐ下100.5辺りだ。なぜなら、以上のような投資家心理を考えれば、リスクリワード比で圧倒的に有利だからだ。もし年初来安値を割ってしまえば、せいぜい-30pips程度の損切りだが、もし思惑通り上記のシナリオが実現された場合のリワードは計り知れない(事実現状で+180pipsだ)。

もちろん、このようなシナリオが事実かどうかは実証も反証もできないので、単なるフィクションと言ってしまえばそれまでであるし、投資家心理だけが値動きを決める要因ではないことは間違いない。

大事なのは、相場も様々な参加者によって成り立っており、自分一人でやってる訳ではないということを認識することなのだ。そして、いろんな参加者の視点に立って考えることで、視野を拡げ、想像力を鍛えることができるのである。

ちなみに、現状は見ての通りまだレンジ内であり、ロング勢が完全勝利したわけではない。これからまた下げて、年初来安値を割り込むことも十分あり得る。