質問の質

つまり、質問の質が人生の質を決めるのだ。このことは、ぜひ肝に銘じておいてほしい。ビジネスであれ、人間関係であれ、有益な答えを引き出せるような「適切な質問」ができるかどうかが重要な鍵なのだ。

たとえば、自動車がまだあまり普及していなかった時代、多くの自動車メーカーの最大の関心事は車の性能の向上だった。

しかし、ヘンリー・フォードだけは、「どうすれば自動車を大量生産できるか」と考えた。この質問がフォードの飛躍を決定づけたのだ。

私はどんな分野においても「質問」こそが人類をここまで進歩させてきたと確信している。

アンソニー・ロビンズの運命を動かす (単行本)

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 非常に重要な視点だと思う。思考のプロセスや回答に焦点を当てて、そこを改善するためのアドバイスは巷に溢れるが、そのプロセスへのインプットである質問そのものに焦点を当てているところが面白い。

人間は脳という優れたプロセッサーをもっており、個々人によってその計算方法や容量は多様である。だが、どんなに優れたスーパーコンピューターであっても、期待する出力(回答)に対して、的外れなパラメーター(質問)を入力してしまえば、トンでもない答えにたどり着いてしまう。これが所謂、Garbage in, Garbage out(ゴミデータを入力すればゴミ回答が出力される)というやつだ。

よく不幸からなかなか自由になれないと言っている人は、「私はなぜこんなに不幸なのだろう?」と問う。どんな人でもそれに対する答えは無数にあるだろう。親が悪い、学校が悪い、容姿が醜い、お金がない等様々なGarbageがoutputされることだろう。それに対して「私はどうしたら幸福になれるだろう?」と問えば、どんな答えが帰ってくるだろうか。(この質問自体もまだまだ質としてはどうかと思うが。)

例えば、仏陀の自身への質問はこうであったはずだ。「人類を苦悩から解放するにはどうすればよいだろう?」。そこから導き出された答えが人類が求めるような回答になっても不思議はないはずだ。イエスであれば、「人類が愛に目覚めるはどうすれば?」だろうか。キング牧師なら「人が差別を乗り越えるには?」。はたまたウォーレン・バフェットなら「今あるお金を将来最大限に増やすにはどの会社に投資すればよいだろう?」などなど。

あなたは、常日頃どのような質問をしているだろうか。