脳は不確実性を楽しむ

シュルツ博士の続報がまた面白い。合図と餌の関係に「確率」を使ってみたのである。確率が100%だったらいつでも餌が出る、0%だったら餌は出ないという具合だ。博士はこの確率をいろいろと変えてみた。するとドーパミンニューロンの活動は確率50%で最大になった。つまり、どっちつかずの確率で報酬がもらえるときにもっとも快楽を感じた。そう、脳は”不確実さ”を楽しむようにできているのだ。

スポーツやカジノが面白いのは「未定の要素」を含んでいるからに他ならない。推理小説も結末を知ってしまっては面白くない。そもそも人が生きていられるのは「未来」 が未確定だからではないだろうか。筋書きどおりの決まりきった将来は脳をダメにする。逆説的だが、「将来への不安こそが脳にとっての栄養源」なのである。

脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)

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起業や投資は、そのリスクや成功率からすれば、まったく割に合わない危険な賭けとも言えるだろう。だが、起業家や投資家がこの世から消えることがない。理由は意外に人間の原始的な脳にあるのかもしれない。