ただ歌っていただけ

「覚えているかい?」彼は言った。「あの初めての日、森のはずれでツグミがぼくたちに歌ってくれたこと。」

「わたしたちのためにうたっていたんじゃない。」ジュリアが言った。「自分が楽しくて歌っていたの。いえ、そうですらないわ。ただ歌っていただけ。」

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 人は常に何かが存在するには必ず何かの目的や理由があると信じずにはいられない。

ただ”あること”に絶えられない生き物なのかもしれない。