リーガル・ハイに学ぶ

 私はここ何年もドラマをほとんど見ていない。そもそもテレビを見ない。むしろ、テレビと神は20世紀に死んだとすら思っている。しかし、ごくまれにいい作品もでるものだなぁと感心することがある。

最近、知人に薦められてしぶしぶみてみたのが、リーガル・ハイだ。これは本当に面白い。社会の実相を如実に表現していると思う。

私が考える、このドラマの一貫したテーマは、世の中や人間そして人間関係の複雑性だ。ヒロインのガッキーが、1つの理想を胸に主人公古見門に挑んでいくのだが、現実の前にあっさりその理想を覆されていく。そして、複雑な世界の前では、1つの単純化された理想や正義というものは一切通用しないということを痛感していく。主人公古見門はそのことを十分理解し、その上で弁護士として徹底的に勝つことだけが、唯一最良の選択であるとする。

人は、物事に対して独自の見解や認識(物語)をもち(こういうのを一般的に認知バイアス、認知の歪み、色眼鏡などという。)、その認識を通してでしか物事を見たり判断することができない。よって、唯一絶対の正しい正義などといものは存在しえないというのがこのドラマの一貫したテーマだと思う。

そもそも正義とはなんだろうか。その正体はおそらく”都合”ではないだろうか。ドラマでも描かれているが、検察には検察の、弁護士には弁護士の、政治家に政治家の、はたまた国には国の都合がある。みなこの手前勝手な都合を正義と言い直して互いに争いあっているのが世の中であると。当然、争いに勝ったほうの都合が正義となり、負けたほうは闇に葬り去られるというのが、この社会のルールである。だからこそ自身や組織の正義=都合を通したいのであれば、本物の”力”をつけなければならないと。

日本が保有する米国債を米国の許可なしに売れないのはなぜだろう?日本に不利な条件でTPPが成立するのはなぜだろう?米国が原爆投下を謝罪しないのはなぜだろう?米軍がいつまでたっても日本から撤退しないのは?それはすべて、日本が戦争で負けたからである。よって、残念だが米国の正義=都合を受け入れるのは当然と言えよう。

話を戻して、主人公古見門は、ならばその都合と都合を徹底的に戦わせれば、神の仕業のようなベストの解はでなくとも、人間社会が成し得るベターな解になるのではないかと言っているように思う。

要は、正義だの理想だのは置いておいて、自分の任務を徹底的に全うする、そこにしか最善の解は生まれないと(ドラマでは毎回そのような落ちになっている。)。投資の世界でいうと、市場至上主義的な考え方に近いなと思う。

投資家の任務は、市場からできるだけの利益を得ることであり、それ以上でもなければそれ以下でもない。そして、答えはその先にしかない。やれゼロサムゲームだから意味がないとか、トレードは何も価値を生み出していないではないか、などというどこかの誰かさんの物語に付き合う必要はないのだ。それは他のどんな職業においても言えることだ。職業に貴賎なしとはこのこと。

ところで、私は別に嫌韓でもなんでもないが(事実私の韓国人の友人は皆いいやつばかり)、韓国大統領がよく、「日本は正しい歴史認識を持たなければならない」などという度に笑ってしまう。まぁそれが国の”都合”を一身に背負ってしまったものの責務なんだろうが、本人が上記のようなことを認識せずに本気でいっているとすれば、残念な話だ。韓国は自国をWW2の戦勝国だと思っているのだろうか。

もしあなたが他人に、あなたは私の都合にすべて従わなければならないなどといわれて、まともな付き合いをその人と続けていけるだろうか。

ともあれ、見所は他にもいろいろあると思うので、これはお勧めしておきたい。

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