ばくちを避け、勝てる戦いをする

名将たちは勝てる戦いを好む。難敵に勝つよりも、勝てそうな相手を選んで戦う方がはるかに容易だ。ばくちを避け、大軍を動員し、万全を期して臨む。それが、破滅を避け、確実に成長するやり方だ。

だが、それでも絶対はない。今川義元が織田信長の奇襲に討ち取られてしまったようなことはいつでも起こりうる。だから、破滅を避けることを追求するならば、心配の種が尽きることはない。

万全に万全を期してもなお不安でしょうがない。何か見落としているのではないか。致命的な失敗が起こるのではないか。敵(ライバル)が予想もつかない手を打ってきたら・・・。不足の事態が起こったら・・・。

このような精神状態だと、常に心が安らぐことはなさそうに見えるが、インテルのグローブは、そうしたパラノイア(偏執狂)的な不安症を持つ経営者だけが、真の成功を収めることができると言っている。不確実な世界では、そのくらいでないと、致命的な大きな失敗を防ぐことはできないのである。

確率論的思考 金融市場のプロが教える 最後に勝つための哲学

確率論的思考 金融市場のプロが教える 最後に勝つための哲学

 これも良書なので紹介。爽やかに勝って勝利の美酒に酔いしれるのが目的ではない。いかに生き延びるかを考えることが、この不確実性の世界においては、最重要の課題である。

投資やトレードといった不確実性が支配する世界に飛び込むと、今まで学校、家庭やテレビなどを通して刷り込まれたさまざまな概念、知識、歴史、人物像、成功法などをひっくり返す必要性に迫られる。そして、私が投資の世界に身をおく1番の理由が、そこから学べることのほうが、世間などでまかり通っている通念や常識より、この世界の実相を正確に捉えているのではないか、と直感的に感じるからである。お金儲けも重要だと思う、しかし、私は我々が住むこの世界の実相をもっともっと深く知りたいと思う根源的な欲求に突き動かされているのかもしれない。