投資の本当の魅力とは

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みなさんは投資に対してどのようなイメージをもっているだろうか。大半の人の投資の世界に足を踏み入れる理由はずばり、お金儲けしたいから(しかも楽に)ではないだろうか。で、やってみたらあっという間に大半のお金を失い、やっぱ楽して儲ける方法なんてないやと元の自分の世界に戻って行くのではないだろうか。

投資で楽に儲ける、という言葉に誰しも甘美な香りと危険な毒性を同時に感じるだろう。世の中にはその甘美な香りを餌にして、まったく中身のない商材を売りつけて大儲けしている人たちがゴマンといるのは既にご存知だろう。”これがあれば必ず儲かる”とか”必ず勝てる”といった宣伝をみたら即そこから離れることをお勧めする。ポイントは”必ず”という言葉だ。投資は不確実性を命題にした世界ゆえ、必ずなんて言葉はタブー中のタブーである。にも拘らず”必ず”なんて言葉を恥ずかしげもなく使っている時点でまぁ詐欺商材と思って問題はない。 

私の個人的な意見だと、投資で楽に儲けられるというのはYESでありかつNOであると思う。というと、量子力学におけるシュレーディンガーの猫みたいな白とも黒ともつかない決まりの悪い答えで申し訳ないが。人はえてして、白か黒かはっきりさせずにはおれない性質を持っているようだ、私ももちろんその傾向ゆえに苦労する。人は常に何が正しく、何が間違っているかを巡って永遠と争い、またある人はその答えを探して永遠にさ迷い続け、挙句の果てにその迷いからの逃走として、親、教師、学校、会社、国家、宗教という名のグールーにその答えを委ねてしまう。自身の考えを捨てて”正しい”答えが与えられる代償はもちろん”個人の自由”だ。つまり人は喜んで奴隷に甘んじるというわけだ。しかし、心を鎮めてよーく観察してみると、世の中で言われている正しい答えや正義などいうものはまったくの幻想であり、力を持つ人間(権力者、既得権益者)の単なる”都合”であることに気づくだろう。また話がずいぶんそれてしまったので、この点についてはまた別の機会に触れたい。

さて、投資で楽に儲けられるという理由をYESとしたのは、まずその物理的な理由からだ。例えば、月に50万円の収入を得るには、おそらく企業に就職するのが王道だろう。そして、上司のパワハラ、部下の突き上げ、顧客からの理不尽なクレーム、サービス残業、地獄のような満員電車に耐え、やっと得られる50万である。一方、月利で1%の利回りで5000万を運用している人がいるとしよう。その人が50万を得るためには、物理的には1クリックで事足りる(IT革命様様である)。指を数ミリ動かして、あとはお茶でもしながら悠々と待つだけ。これを”楽”といわずしてなんだろうか。そして、投資の世界は%が支配する世界である。取引コストを無視すれば、100円を運用して1円を得るために必要な労力と100億円を運用して1億円を得るために必要な労力は本質的にはなんら変わりがないのである。さらにさらに、うまくやれば投資には複利という魔法のような力が働く。新聞紙1枚を50回折り曲げたら月に届いてしまうという話は聞いたことがあると思うが、複利のパワーとは基本的にはこれと同じことである。もし、毎年年利100%で100万円を複利で15年運用すると、およそ164億になるのだ。一方日本企業で勤続30年で役員になったとしても給与はせいぜい入社時の5倍か多くても10倍くらいだろう。(誤解を避けるために、私はなにも企業で勤めることを貶めているわけではない、企業で働くことにはそれなりのやりがいや喜び、達成感や、そこで繰り広げられる人間ドラマと成長など金銭では決して計ることができない価値が存在するのは身をもって理解している。そもそも、サラリーマンには通常得がたい高確率の”安定収入”が手に入る。ここでは単に数字上で投資の魅力について強調したいだけである。)

さて、一方NOとする理由だが、もうお気づきかと思うが、上記の話はたった一つの大前提に立っていることがおわかりだろう。そう、上の話はすべて、投資活動において、ある一定の利益を上げ続けられることを前提にしているのだ。そして、投資で一定の利益を上げ続けるようになるまでの苦労は決して楽なものではない。考えようによってはブラック企業で定年まで勤め上げるほうがよっぽど楽と言える場合もあるだろう。なぜなら、投資においては、投下した時間と労力が必ずしも成果に直結するとも言えない不確実性が支配する世界だからだ。ポイントは、投資で勝つことではなく、投資で”勝ち続けられる”ことである。

世の中に出回る情報商材のほとんどは前者を強調したものである。このインジケーターを使えば勝てるとか、この売買シグナルや手法に従えば勝てるといった類のものはその代表例だろう。まぁ確かに一発勝負であれば本当に勝てることもあるので必ずしも詐欺とまでは言えないが、それにしても必ずはつけてはならないと思う。

自身に投資のセンスや才能があるかは長期的に見なければわからない。故に今はとにかく勉強することだ。いや実は、投資の本当の魅力はここにある。そう投資家として成長するには結局、政治・経済はもちろん、心理、物理、哲学、歴史など万般の知識に精通し、さらにそれを応用する知恵をつけなければならない。ゆえに、勉強することで人として成長する、で結果運よければ金銭的富も得られるという、これこそが投資の世界に身をおく魅力ではないかと考える。

ちなみお金を儲けることも重要だが、みなさんは儲けたお金を何に使うか、儲ける前から決めているだろうか。そう、お金の価値は儲け方できまるのではなく、使い方できまるのだ。投資の神様バフェットは、少年時から大富豪になることを確信していたため、そうなる前からお金をどう使えばいいか本気で悩んでいたそうだ。

というわけで、本物の投資家であり続けるにはどうすればいいか、もっと深く、静かに、淡々と皆様とともに精進してまいりたいと思うこの頃である。